脳卒中
脳卒中

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の働きに障害が生じる病気の総称です。血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」などが含まれ、日本では脳梗塞が脳卒中全体の約7割を占めるといわれています。
脳卒中は突然発症し、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、顔のゆがみなどの症状が現れます。発症後の治療は「時間との勝負」であり、早期に専門病院での治療を受けることが後遺症を減らす最大の鍵となります。
一方で、脳卒中は再発しやすい病気でもあり、再発を繰り返すたびに後遺症が重くなりやすいことが知られています。当院では脳神経内科の専門医として、急性期治療を終えた後の長期的な再発予防、そして脳卒中をまだ起こしていない方の発症予防に力を入れています。
脳梗塞は発症から数時間以内であれば、血栓を溶かす薬(rt-PA静注療法)や、カテーテルで血栓を取り除く治療(機械的血栓回収療法)によって、後遺症を大きく減らせる可能性があります。「少し休めば治るだろう」と様子を見ているうちに、治療の機会を逃してしまうケースが少なくありません。
以下の症状が「突然」現れた場合は、脳卒中の可能性があります。すぐに119番に連絡してください。
これらの症状が数分〜数十分で消えてしまうこともありますが、それは「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれ、本格的な脳梗塞の前触れとして極めて重要なサインです。「治ったから大丈夫」と放置せず、必ず医療機関を受診してください。
脳の動脈が詰まることで、その先の脳細胞に血液が届かなくなり、脳細胞が死滅してしまう病気です。原因によっていくつかのタイプに分けられます。
脳の深部にある細い血管が、加齢や高血圧によって詰まるタイプです。
動脈硬化によって太い血管の内側が狭くなり、血の塊が詰まるタイプです。
心房細動などの不整脈によって心臓内にできた血栓が脳に流れて行き、太い血管を突然塞ぐタイプです。発症時の重症度が高く、要介護状態になりやすいことが知られています。
一過性脳虚血発作(TIA)を起こした方は、その後数日〜数ヶ月の間に本格的な脳梗塞を起こすリスクが高いことが知られています。症状がおさまっても、必ず早めに受診してください。
TIAの背景には、首の血管に動脈硬化(プラーク)が溜まって狭くなる「頸動脈狭窄症」が隠れていることが多くあります。早期に発見し、薬物治療や生活習慣の改善を始めることで、脳梗塞の発症を予防できる可能性があります。
脳の細い血管が破れて出血し、神経細胞を圧迫・障害します。最も多い原因は長年の高血圧による動脈硬化で、血圧管理が再発予防の鍵となります。近年は、高齢者に多い「脳アミロイドアンギオパチー」という、血管壁にアミロイドβというタンパク質が溜まって血管がもろくなる病態も注目されています。
脳の表面にある動脈の瘤(脳動脈瘤)が破裂して起こる出血です。「今までに経験したことのない突然の激しい頭痛」が最大の特徴で、吐き気や嘔吐、意識障害を伴うことが多い病気です。発症した場合は緊急の外科的処置が必要となります。脳ドックなどで未破裂の段階で動脈瘤が見つかった場合は、破裂のリスクを評価した上で、予防的な治療を検討することができます。
症状がいつ、どのように現れたかを詳しく伺い、神経学的な診察で麻痺や感覚障害の有無を確認します。TIAのように症状が消えてしまっている場合でも、丁寧な病歴聴取が診断の要となります。
心原性脳塞栓症の原因となる心房細動などの不整脈や、動脈硬化のリスク因子(糖尿病、脂質異常症など)を調べます。隠れた心房細動が疑われる場合は、長時間の心電図検査が必要になることもあります。
頸動脈の狭窄の程度や、血栓のもとになる「不安定なプラーク」の状態をリアルタイムで評価し、脳梗塞のリスクを直接見ることができます。
脳梗塞や脳出血が疑われる場合、MRIやCTなど高度な画像検査が必要となります。必要に応じて、高度連携医療機関での精密検査を速やかに手配します。
脳卒中は再発しやすい病気です。当院では急性期病院での治療を終えた後の、長期的な再発予防(二次予防)に力を入れています。
脳梗塞では原因となる病型に応じて、血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬を選択し処方します。心房細動による脳塞栓症の予防には抗凝固薬が、それ以外の脳梗塞には抗血小板薬が使われるのが一般的です。
脳卒中の最大の原因である高血圧をはじめ、糖尿病や脂質異常症等を管理します。再発予防には、血圧や血糖値を良好に保ち続けることが何より重要です。
禁煙、減塩、適度な運動など、血管の健康を保つための具体的なアドバイスを行います。
脳卒中の前触れを見逃さず、気になる症状があればお早めにご相談ください。
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