「予防できる認知症」 血管を守り、脳を守る|京都府長岡京市の内科・脳神経内科・整形外科|さいのうちクリニック

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「予防できる認知症」 血管を守り、脳を守る

「予防できる認知症」 血管を守り、脳を守る|京都府長岡京市の内科・脳神経内科・整形外科|さいのうちクリニック

2026年10月05日

「予防できる認知症」 血管を守り、脳を守る

「認知症は、歳をとったら避けられないもの」——そう諦めていませんか? 近年の医学研究で、認知症の一部は「予防できる」ことが明らかになっています。その鍵の一つが、私たちの「脳の血管」です。

認知症のおよそ5人に1人は「血管性認知症」

認知症は特定のひとつの病気の名前ではなく、脳の病気によって記憶・思考・判断・言葉・見当識などさまざまな働きが低下した状態をまとめた呼び名です。「もの忘れ」だけが認知症ではありません。

原因となる病気で最も多いのはアルツハイマー型認知症(約7割)ですが、次に多いのが脳梗塞や脳出血といった脳血管障害による血管性認知症で、全体の約2割を占めます。

脳は、血流不足にとても弱い臓器です

脳の重さは1,200〜1,400g、体重のわずか2.5%ほどしかありません。ところが、心臓から送り出される血液のうち約20%が脳へ向かいます。体の大きさに比べて、桁違いに多くの血液を必要としている臓器です。

それだけに、脳は血流の不足に弱く、血管が詰まる(脳梗塞)・破れる(脳出血)といった事態が起きると、その部位が担っていた働きが失われてしまいます。

気づかないうちに進んでいることがあります

血管性認知症というと「大きな脳卒中を起こした後になるもの」というイメージがあるかもしれませんが、実際には次のようなパターンもあります。

記憶の中継地点にあたる小さな部位に、一度の脳梗塞が起きた場合

梗塞そのものは小さくても、記憶力の低下や意欲の減退が後遺症として残ることがあります。

自覚のない小さな脳梗塞を、少しずつ繰り返していた場合

歩幅が狭くなって転びやすい、体が固い、意欲がわかない、といった症状がゆっくり進み、認知機能の低下を伴うことがあります。

こうした「症状のない脳梗塞(無症候性脳梗塞)」や、脳の白質という部分に生じる「大脳白質病変」は、いずれも将来の認知症のリスクを約2倍に高めることが知られています。頭痛やめまいで撮影した検査で偶然見つかることも珍しくありません。

血管を守ることは、他のタイプの認知症の予防にもなります

「では、アルツハイマー型認知症には関係ないのでは」と思われるかもしれません。実はそうではありません。

ご高齢の方の脳を詳しく調べると、アルツハイマー病やレビー小体病の変化と、脳血管障害とが重なって存在していることがよくあります。そして、アルツハイマー病の変化が同じ程度であっても、脳血管障害を併せ持つ方のほうが、より早い段階で認知症の症状が現れやすいことが報告されています。 つまり、脳の血管を守ることは、血管性認知症だけでなく、認知症全体の発症を遅らせることにつながるのです。

 実際に、認知症になる人の割合は減っています

明るい話題もあります。国内の調査では、65歳以上の方に占める認知症の割合は、2012年の調査で約15%だったのに対し、2022年の調査では12.3%へと低下しました。

その背景として、喫煙率の低下、中年期からの高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の管理の改善、健康に関する情報が広く行き渡ったことなどが挙げられています。社会全体の努力が、結果として表れているということです。 また、症状のない脳梗塞を持つ方を追跡した研究では、その後に新たな脳梗塞が起きなかった方は3年後も認知機能が保たれていた一方、新たな脳梗塞が加わった方では低下していました。「これ以上増やさないこと」に、はっきりとした意味があるのです。

 脳血管障害を防ぐために ― まずは血圧から

脳血管障害の主な危険因子は次のとおりです。

・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・心房細動
・喫煙
・過度の飲酒
・肥満
・運動不足
なかでも影響が大きいのが高血圧です。国内の高血圧の方は約4,300万人と推計されていますが、治療によってきちんと血圧が下がっている方は、そのうち4人に1人程度にとどまります。1,400万人もの方が、ご自身が高血圧であることに気づいていないとも推計されています。

そして高血圧の影響は、その時だけのものではありません。中年期の血圧が高かった方は、20年以上のちに認知機能が低下するリスクが約2倍になると報告されています。若い頃・働き盛りの頃からの血圧管理が、将来の脳を守ります。

今日のメッセージ

☑️予防のための行動に、遅すぎるということはありません
☑️脳の血管を守ることが、認知症の予防につながります
☑️必要なのは特別な治療ではなく、日々の積み重ねです

健診で血圧やコレステロールを指摘されたまま様子を見ている、以前は薬を飲んでいたが中断している、最近もの忘れが気になる ── どれも、一度ご相談いただく価値のあることです。自分らしい毎日を長く続けていくために、できることから始めていきましょう。

院長

※本コラムは、2026年1月に長岡京病院で開催した市民講座「予防できる認知症 ―血管を守り、脳を守ろう―」で発表した内容をもとに作成しました。

当院でのご相談について

さいのうちクリニックでは、内科・脳神経内科・整形外科の診療を行っております。脳神経内科では、頭痛、めまい・ふらつき、手足のしびれ、手足のふるえ、もの忘れなど、脳や神経に関わる症状を幅広く診療しています。生活習慣病の管理から、もの忘れのご相談、脳卒中後の再発予防まで、お気軽にご相談ください。

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