2026年10月15日

「最近、物忘れが目立つようになった」
「立ち上がるとふらつく、転びそうになることが増えた」
「動作が遅くなり、小刻みに歩くようになった」
このような症状が現れると、「年のせいかな」「認知症やパーキンソン病ではないだろうか」と心配になる方も多いと思います。
もちろん、こうした症状の背景に病気が隠れていることもあります。一方で、普段飲んでいるお薬が原因となっている場合があることをご存じでしょうか。
年齢とともに、お薬の影響を受けやすくなります
複数の医療機関を受診していると、いつの間にか飲んでいるお薬の種類が増えていることがよくあります。
また、以前から問題なく飲んでいたお薬でも、年齢とともに肝臓や腎臓の働きが変化することで、お薬の影響が強く現れる場合があります。
特に気をつけたい症状を3つご紹介します。
1.物忘れ・ぼんやりする
一部の睡眠薬や抗不安薬、頻尿に使われるお薬のほか、市販の風邪薬や睡眠改善薬、かゆみ止めの一部に含まれる成分(抗ヒスタミン薬)によって、眠気が強くなったり、頭がぼんやりしたり、記憶力や注意力が低下したりすることがあります。 一見すると認知症のように見えても、実はお薬の影響だったということもあります。その場合、お薬の種類や量を見直すことで、症状がよくなる可能性があります。
2.ふらつき・転倒
睡眠薬や抗不安薬、血圧を下げるお薬などの影響で、めまいやふらつき、立ちくらみが起こる場合があります。
特にご高齢の方では、転倒や骨折につながるおそれがあるため注意が必要です。
「最近よくふらつく」「転ぶことが増えた」という場合には、病気だけでなく、現在飲んでいるお薬についても一度確認することが大切です。
3.動作の遅さ・歩きにくさ
「動作が遅くなった」
「足が出にくく、すり足になった」
「表情が乏しくなった」
こうしたパーキンソン病に似た症状が、一部のお薬によって引き起こされることがあります。これを「薬剤性パーキンソニズム」といいます。
原因となりうるのは、一部の吐き気止めや胃薬、気分の落ち込みや不安定さなど心の不調に使われるお薬などです。お薬を飲み始めてから数週間〜数か月のうちに症状が出てくることが多いのも特徴です。
パーキンソン病そのものなのか、お薬の影響なのか、あるいは別の病気なのかを見分けるためには、神経の診察に加えて、服薬内容を確認することが欠かせません。
自分の判断でお薬をやめないでください
「この症状は薬のせいかもしれない」と思っても、自己判断でお薬を減らしたり、中止したりすることは避けてください。
お薬によっては、急にやめると危険な症状が出ることもあり、治療中の病気が悪化するおそれもあります。 気になるときは、お薬を処方している医師や、かかりつけ薬局の薬剤師に相談するのもよい方法です。見直しが必要な場合も、医師と相談しながら、安全に少しずつ進めていきます。
受診の際は「お薬手帳」をお持ちください
現在飲んでいるお薬を確認することは、診察の大切な一部です。
他の医療機関から処方されているお薬だけでなく、市販薬やサプリメントを使用している場合も、できるだけお知らせください。
「最近ふらつくことが増えた」
「以前より物忘れが気になる」
「この症状は薬の影響ではないだろうか」 このような疑問があれば、受診の際にご相談ください。
当院での診療について
当院では脳神経内科医が、物忘れやパーキンソン病などの診療とあわせて、お飲みのお薬の内容を確認します。症状が病気によるものか、お薬の影響によるものかを見きわめたうえで、必要に応じて処方している医療機関とも連携しながら対応します。
新しい症状が出たときには、「新しい病気」だけでなく「今飲んでいるお薬」を見直してみることも大切です。
お薬手帳をご持参のうえ、お気軽にご相談ください。